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ミツバチと共に90年――

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第8回 蜂蜜エッセイ応募作品

養蜂農家と消費者の親密で濃密な関係の作り方

佐藤剛史

 

 あるとき、新規参入した若手の養蜂農家と知り合うことができました。大学の農学部の教員をやっていたため、土地利用型農業や園芸農業については多少の知見があります。しかし、養蜂業のことは全く知りません。
 そこで、はちみつ好きな消費者仲間を集め「養蜂について学ぶワークショップ」を実施しました。
 農家さん宅を訪問し、早速、巣箱に向かいます。ミツバチをおとなしくするため麻袋に火をつけ、蜂に刺されないようにメッシュ帽子をかぶり…
 「今日は晴れていて暖かいから、蜂に刺されるリスクは少ないですよ」と農家さんは言います。さらに聞けば、ミツバチは社会的生物で、年齢により役割分担されていて、例えば、若年は部屋の掃除、中年は門番、高齢は蜜採りのために遠征、というような具合。
 ハチは一突きしたら針が取れて死んでしまうらしく、若いハチが、血気盛んで一突きして死んだら、種が続かなくなります。老い先短い高齢のミツバチは血気盛んに遠征に出かけます。
 しかし、今日のような晴れて、暖かい日は、遠くに採蜜に出かけているので、残っているのは若くておとなしいミツバチだけ。だから蜂に刺されるリスクは少ないとのこと。
 ミツバチが近寄ってきても、本当に平気。皆、驚きます。
 さらに実際に巣箱を手に取り解説が続きます。
 ミツバチは花から蜜を吸って巣箱に持ち帰ります。巣箱の中の貯蔵係に口移しで蜜を渡します。この時、蜜の中には約60%の水分が含まれていて保存ができません。そこで、貯蔵係のミツバチは、受け取った体の中の蜜を少しずつ糸のように引き伸ばしながら巣穴の中に蓄えていきます。蜜は巣箱の中の暖かい空気に触れて乾燥していき、水分が40%くらいになると粘り気がでてきます。
 さらに、若い乾燥係がいて、巣箱の底に並んで力いっぱい羽根を振り、風を起こして巣箱の中の換気をします。これにより約3日で水分20%くらいになり、ハチミツが完成します。
 そんなハチミツを私たちは食べてるの!と参加者は驚きます。
 このあと、参加者が作ってきたパンやチーズ等にハチミツをつけて、みんなで食べ大感激。参加者はこの養蜂農家の大ファンになりました。もう、ここのハチミツ以外は買わないという方も。
 養蜂業は、土地利用型農業や園芸農業に比べて「地産地消」「生消交流」というような概念や関係性に薄いような気がします。
 だけれども、こうした工夫で、親密で濃密な関係が出来上がるのです。

 

(完)

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